目次
1、広告代理店の概要を知ろう
就活人気ランキングでいつも上位に入る電通や博報堂をはじめ、就職希望者の多い広告代理店。広告代理店と聞くと、華やかな仕事をイメージする人もいれば、「どれくらい給料を貰っているのかな?」とお金のことが気になって仕方がない人もいるのではないでしょうか?
まずは、広告代理店の概要をチェックしましょう。
概要①:仕事内容
顧客企業の課題解決のためのあらゆる手段・戦略を見つけ、成長を手助けする広告代理店ですが、業務内容は実に様々。何でも屋と表現する人もいるほどです。
・コピーライター
・アートディレクター
・クリエイティブディレクター
・WEBプランナー
…他多数
職種については大まかに営業、マーケティング、クリエイティブの3部門に分類可能。広告業界が手掛けるのは制作のみに限らず、企画や発売、リニューアルなど、とても幅広い仕事を担当します。あらゆる業界と接点を持つこともできるので、そこに魅力・やりがいを見いだす人も多いようです。
概要②:世間のイメージ
広告代理店に対する世間のイメージを見てみると、コピーライターやデザイナーなど、きらびやかな姿を思い浮かべる人もいれば、真っ先に“激務”という言葉を思い出す人も。
しかし、共通しているのはなんといっても「給料が高い」というイメージ。合コンや飲み会で「広告代理店勤務です」というと、とりわけ注目の的となるようです。大変そうという意見に負けないくらい”勝ち組”というイメージが浸透しているかもしれませんね。
概要③:市場規模
日本の広告費はどれくらいなのでしょうか?『電通』の発表によると、2015年の広告費は前年比100.3%の6兆1,710億円、4年連続増加となりました。特に好調なインターネット広告は、前年に比べて10.2%伸長しました。
なお世界全体ではおよそ60兆円~70兆円ほどの市場規模。国別にみると、GDPの高いアメリカ、中国、日本が圧倒的シェアを占めています。
概要④:動向
新聞、雑誌、ラジオはやや低迷気味ですが、インターネット広告が今後ますます成長することは、ほぼ間違いありません。売上ランキングにも、インターネット広告代理店が複数入るようになっています。一方、広告業界全体については”電博”こと「電通」「博報堂」の2社が圧倒的シェアを誇り、寡占化が進む見込みです。
2、大きく3つのタイプに分類できる
広告代理店は、その性質によって3タイプに分類できます。強みや事業方針は企業ごとにまちまちですが、ここでは3つのタイプの特徴を見ていきましょう。
タイプ①:総合広告代理店
広告代理店というと、多くの場合は総合広告代理店を示しています。有名なのは、電通、博報堂、アサツーディ・ケイ、大広など。
あらゆるメディアに対応可能で、まさに何でも屋という言葉がぴったりですね。制作会社などの子会社を持ってグループを形成している大手もあります。
タイプ②:専門広告代理店
特定の分野に秀でている専門広告代理店は、メディア側に立った代理店であり、広告枠を売る営業活動をします。近年では、インターネット広告に特化した代理店の発展が著しく、サイバーエージェント、オプト、セプテーニなどの企業が代表的です。
タイプ③:ハウスエージェンシー
親会社の宣伝活動をするハウスエージェンシーは鉄道会社に多く見られ、東急や小田急、JR系列のハウスエージェンシーがあります。東急エージェンシー、JR東日本企画などがハウスエージェンシーですね。
こちらは、企業の宣伝部が独立分社化しているもの。とはいえ、東急エージェンシーのようにハウスエージェンシーでありながら、他業種・他企業の広告を手掛けるようになるケースもあります。
3、広告代理店の売上総利益TOP10【世界】
世界ランキング第一位:WPPグループ
イギリスのロンドンに本拠地を置く、世界最大の広告代理店グループ。ただし、税務上の理由により、登記のうえではアイルランドが本社となっています。
その規模はまさにグローバル企業そのもので、107か国に進出。積極的にM&Aをおこない、世界初の広告代理店『JWT』をはじめ、世界有数の広告代理店を傘下にしています。日本ではADKと資本関係にあり、株式の24.5%を保有するADKの筆頭株主です。
世界ランキング第二位:オムニコムグループ
アメリカのニューヨークに本社を置くオムニコムグループ。2013年、ピュブリシスグループとの合併が発表され、WPPを超える世界最大の広告代理店が誕生するとみられていましたが、2014年に計画の撤回が報じられました。とはいえ、名立たる企業の買収・資本提携を進めていることに変わりはなく、日本でも東急エージェンシーと業務提携契約を結んでいます。
世界ランキング第三位:ピュブリシスグループ
フランス・パリの広告代理店。世界108か国で事業展開していて、グループ全体で64,000人もの従業員を擁しています。以前は『電通』との合弁会社を展開していたものの、現在は合弁関係が解消。先ほどご紹介したように、世界第二位のオムニコムグループとの合併計画が発表されましたが、撤回されましたね。日本の『ビーコンコミュニケーションズ』は、ピュブリシスの傘下です。
世界ランキング第四位:インターパブリックグループ
オムニコム同様、ニューヨークに本拠地を置くインターパブリック。「マッキャンエリクソン」や「ドラフトFCB」などの広告会社が傘下に抱えられ、日本の「大広」とも業務提携しています。世界トップの広告代理店は、他国の企業も巻き込んで事業展開しているのがよく分かりますね。
世界ランキング第五位:電通イージス
日本の広告代理店の首位「電通」グループが、世界のTOP5にランクイン。国内ではいわずとしれた圧倒的シェアを保持していますが、世界でも124か国で事業を展開。2013年にイギリスの「イージスグループ」を買収したことで、その存在感をさらに大きくしました。
世界ランキング第六位:アバス
フランスのパリに本社を置く大手広告代理店。世界75ヵ国で316もの拠点を持ち、日本法人であるハバスワールドワイドジャパンは都内にあります。武田薬品工業やノバルティスファーマ、バイエル薬品などの超大手製薬会社をはじめ、世界中の有名企業がクライアントとなっています。
世界ランキング第七位:アライアンス・データ・システムズ
アライアンスデータシステムズは厳密にはクレジットカードの運営会社であり、広告代理店事業を担っているのは子会社のイプシロンです。ビッグデータを活かした一般消費者向けのマーケティングや、ロイヤリティサービスに強みを持っています。クリエイティブとマーケティングが両立可能な、まさに新しい広告代理店。
世界ランキング第八位:博報堂DYホールディングス
後述するように、国内では電通とともにトップシェアを誇る博報堂。こちらも世界の広告代理店ランキングでトップ10入りを果たしています。
世界ランキング第九位:IBMインタラクティブ・エクスペリエンス
コンピュータ関連製品やサービスを提供するIBMは、広告業界でも際立った存在感を発揮。そんなIBMのコンサル部門から誕生したIBM インタラクティブエクスペリエンスは、革新的な体験を創造する取組みを強化しているようです。戦略・クリエイティブ・モバイルそれぞれの専門家が共同となり、リアルとデジタルの融合を目指しています。
世界ランキング第十位:デロイトデジタル
コンサルティング会社として有名なデロイト。サービス提供の際には、必ず戦略コンサルティングから課題解決を始めているのが特徴的です。このように、近年ではコンサルティングファームがデジタルマーケティングでのシェアを飛躍的に伸ばしており、深い知見や洞察をもった会社が今後もますます活躍していくことが見込まれます。
4、広告代理店の売上高ランキングTOP10【国内】
第一位:電通
世界でもトップクラスの電通は、日本で堂々の首位。「Good Innovation.」という企業理念が表す通り、常に変革を起こす”攻めの姿勢”で社会や企業が直面する課題の解決に取り組んでいます。
超体育会系といわれており、成果を出すには気力・体力・精神力など、総合的なエネルギーが求められるようです。
第二位:博報堂
博報堂は電通とともに”電博”といわれることが多く、就職人気ランキングでも上位。電通に比べて体育会の要素はそれほどなく、”スタイリッシュな個人主義”と呼ばれることも多いです。制作部門の強さと、ユーザーデータの活用などに見られる論理的な戦略が業界での地位を確固たるものにしています。
なお、博報堂と大広・読売広告社を完全子会社として傘下に置く博報堂DYホールディングスは、国内で前例のない広告グループの持ち株会社で、売上は1兆円を超えます。
第三位:アサツーディ・ケイ
海外にも影響を与えるコンテンツ・パッケージを広告として展開しているアサツーディ・ケイ(ADK)は、業界TOP3に入っていながら社風は「広告代理店らしくない」といわれています。上位3社はまさに三者三様なのです。
アニメとハイブランドにおける大きな強みが、高い業績につながっています。有名アニメ作品の制作に携わったり、ルイヴィトンやクリスチャンディオールの広告を担当したりしています。
第四位:サイバーエージェント
創業以来、インターネット領域で成長し、現在ではメディア、広告、ゲームを柱に事業を展開するサイバーエージェント。『21世紀を代表する会社を創る』というビジョンの通り、インターネット領域で著しい活躍を見せていますね。インターネット広告の売上高・営業利益率は国内首位で、Amebaのメディア事業も好調。
第五位:大広
こちらも博報堂DYホールディングスの傘下で、DMや顧客管理に強みを持っています。社内外からクリエイター、経営者、学者等などの多彩な講師を招く「大広創塾」を開催するなど、発想の源泉を満たすと共に学びあい・育てあう風土作りを徹底しています。
第六位:JR東日本企画
ハウスエージェンシーのJR東日本企画。従来型の媒体である交通広告におけるデジタル対応の推進や、他媒体とのクロスメディア提案など、様々な取り組みを進めています。
第七位:東急エージェンシー
「Inspiring Idea」=「心を触発するアイデア」をマーケティングソリューションの核とする東急エージェンシー。東急グループならではの強みを活かした交通・空港・屋外等のOOH等、生活者の声をリアルにキャッチして事業展開しています。
第八位:デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)
1996年から広告取引・広告技術のエキスパートとして、事業領域を拡大してきたデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)。博報堂グループに属していて、ネット広告で有名なアイレップもDACグループです。
第九位:読売広告社
博報堂DYホールディングスの傘下の中で、特にアニメとスポーツに強みがあるといわれている読売広告社。読売の由来は、読売新聞の広告枠買付けから発祥したものですが、売上の主力は新聞ではありません。
第十位:デルフィス
トヨタグループのハウスエージェンシー、デルフィス。世界を代表するトヨタ自動車のマスキャンペーンや大規模イベント、WEB制作からショールーム管理まで幅広い業務を手がけています。この領域について、さらなる拡大が見込まれます。
5、給料&従業員数のランキングTOP10
「給料が高い」「高給取り」といわれる広告代理店は、実際にどれくらい給料を貰っているのでしょうか?ランキングで上位10社の年収をご紹介!また、従業員がどれほどかを見れば、別の視点で規模感を読み取れます。
従業員数ランキングTOP10&広告代理店の年収ランキングTOP10を続けてご覧ください。
広告代理店の従業員数ランキングTOP10
各企業のHPを参照したデータですが、従業員数は増減を繰り返します。こちらのランキングでは、売上高と比較しながら企業の大きさを把握するために活用してみてください。
広告代理店の年収ランキングTOP10
2位にランクインしている博報堂DYホールディングスは、博報堂、大広、読売広告社の持株会社なので、各3社も給与が高いことが推測できますね。ただし、こちらはあくまでも平均年収ですから、ランキング外の広告代理店にも上位企業以上の収入を得ている人は大勢います。
国内の平均年収はおよそ440万円といわれていますから、トップ2社の年収は文字通り”超高給”といえるでしょう。