今回はコンサル志望者に求められる3つの力について書いていきます。
コンサルの選考では、グループディスカッションや面接が終わった後の質問タイムでは、みんないい質問をしようと頑張り、色々な質問が頭の中に浮かんできます。
ただ、一番聞きたいのは「コンサルティングファームは一体どういう人を採用するのか?」ということではないでしょうか。
筆者はこのことが非常に気になって、座談会やプライベートな飲み会を使ってよく質問しました。もちろん、直接的な聞き方はしませんでしたが。
一番良く返ってくる答えは「んー、まぁフィーリングかなー。」でした。嘘かと思うかもしれませんが、本当にそういう回答でした。筆者の面接をしてくれたマネージャーに懇談会で会った際もそのように言われました。
コンサルティング業界は、基本的に人事ではなく現場のコンサルタントが面接をするので、そこまで緻密に採用戦略を練っているわけではないのです。もちろん人事が決めた一定の基準はありますが、ほとんどの人は見ていません。
「今プロジェクトで超忙しいのに学生の相手とか面倒くさい。フィーリングで良さそうな奴を採用すればればいい」というのがホンネでしょうね。もちろん、ジョブ等で様々な能力をじっくり測るファームもあります。
とはいえ、「フィーリングで採用している=適当に採用している」ということではありません。
人事が現場コンサルタントに面接をさせるのは、そうすることで良い人材を集められると知っているからです。学生からしても、実際に一緒に働くことになる社会人と会えるわけですから、いいことですよね。
では、コンサルタントに「こいつ良さそうだな」と感じさせる力は何でしょうか。以下、3つにまとめてみました。
徹底的なValue追求志向
コンサルタントが良く言うワードNo.1、「Value」です。若手のコンサルタントは「その仕事のValueは何なの?」「それホントにValue出てる?」と耳にタコができるほど上司に言われます。
コンサルタントは、「自分の仕事についた付加価値」という意味で「Value」という言葉を使います。ただ作業をこなすだけでなく、その作業の質を徹底的に高められる人が、「Valueを出している人」だとみなされます。
また補足すれば、Valueを出すとは、「何らかの差を生み出すこと」です。それは「変化を起こすこと」であり、それすなわち「何らかの課題を解決し、状況を変えるということ」です。
「Valueを出す」ために、課題発見の重要性について書かれた書籍に『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』があります。この本では、解の質を高めることのみ追求したために生産性が下がってしまう恐れを指摘し、「そもそもその課題は解くべき課題なのか?」と考えることが提案されています。
付加価値=「課題の質」×「解の質」であるという前提に基づき、生産性の高い仕事をするための思考術について学ぶことが出来ます。
コンサルタントは面接で質問する中で、「Valueを出せるヤツなのかどうか」を判断するようにしています。
Valueを出すのはコンサルティング業務に限らず、どこでも求められることであり、学生時代の行動の仕方、経験を聞けば参考になるものです。
例えば、アルバイトでも、ただ言われたことをやるのではなく、「客単価の向上やオペレーションの円滑化を進めるために徹底的に考え、実行した」というのであれば、非常に大きなアピールになります。
サークルの代表を経験したのであれば、「サークルの問題点を徹底的に洗い出してグループ化し、解決策をいくつか考え、優先度順に実行した」というエピソードが話せたりすると非常に魅力的です。
特に、「何が本当の課題だったのか」、「解決した結果どうなったのか」についてはアツく語ってみてください。そんなエピソードを聞くと、コンサルタントは「なかなか使えそうだな」と判断するでしょう。
また、コンサルタントの加藤賢哉氏(株式会社NTT経営研究所 パートナー)も以下のように語っています。
いわゆる従来型のコンサルタントが出せるバリューを上回るバリューをださなければ、というプレッシャーもあります。
常にこういったプレッシャーに駆られながら、クライアントの期待以上の成果を上げなければならない訳ですから、それ相応のハードワークが求められます。
スケジューリングし、実行する力
特に新人のうちにありがちなことは、上司から「これやっといてねー」と仕事をいきなり振られ、放置されることです。ありがちというか、日常茶飯事のようですが。
このようなときに大切なことは、「ゴール設定」「タスクレベルにブレークダウン(分解)」「納期の決定」の3つです。
あまりデータがなくても自分なりに仮説を立ててゴール設定をし、それを実行レベルまで細かく落とし、最終的な納期を決めて仕事を進めていかなければなりません。これをしっかり決めて仕事ができると、上司から信頼を置かれます。
「タスクを自分で考えて設定し、それを臨機応変にクリアしていくのがまず前提だね」とあるシニアマネージャーが仰っていました。
ゼミで論文を書く際に、自ら論文作成の最終目標と期限を設定し、それを達成するためにやるべきことを細かく分け、しっかり書きあげるといったエピソードがこれに対するアピールになるでしょうか。
ただ取り組むのではなく、ゴールを明確化し、タスクに落とし、納期を守れる学生は、コンサルタントにとって魅力的に映ります。
言い換えれば、逆算型の取り組み方が出来る人であり、全体を構成要素に分解出来る人です。
共感を生む魅力的な人柄
上2つに加え、人柄がなんだかんだ非常に重要になってきます。
コンサルティングファームにおいては、「人が資産」ですし、コンサルティング業務と言うのは結局のところクライアントへの「客商売」です。人当たりの良さなども重要な性質の一つでしょう。
コンサルの仕事は忙しいときがほとんどなので、一緒に働いていて楽しい人が求められたりします。
いくら頭が切れても、いつもイライラしていて文句ばっか言ってたり、チームメンバーやクライアントを批判しまくる人はやはり嫌われてしまいます。嫌われると協力が得られなくなって成果も出ません。
そういう人よりは、自信はあるんだけどなんか謙虚な人、面白いけど毒がないボケを言っている人、じっくりと真剣に話を聞いてくれる人のほうが好かれます。一緒に飲みたいと思える人、と考えるといいかもしれません。
面接官にもよるので、「一概にこうしたほうがいい」というアドバイスはできません。
しかし、自然な笑顔は必須です。笑うのが苦手な人は、面接の前にトイレに行って30秒ぐらい笑顔を作ってから行くといいかもしれません。私はいつもそうしてました。
以上になります。