【しっかり理解】商社とは何か?詳しく解説

日本を代表する業界の一つであり、その規模・影響力で現代でも就活生にトップクラスの人気を誇るのが総合商社です。

草創期の総合商社は主に大商人によって作られた財閥の中核企業であり、また数多くの商品を手掛ける”問屋”として国内の流通を担いました。戦後はいち早く海外への再進出を果たし、また流通でのプレゼンスが弱まると「投資」という新たな業態を発展させるなど、強い生命力を持ち、豊富な資源を効率的に生かすことで知られています。

また、古今を問わず商社の最大の強みとして挙げられるのは「人」です。自前の商品を持たないぶん人の力を頼りに稼ぐという伝統がいまなお続いているといえます。だからこその厚待遇、就活生からの人気といえるでしょう。

では、激しい競争を勝ち抜いて商社からの内定を得るにはどうすれば良いのでしょう。
答えは簡単。下のコラムから「商社の本質」に迫るのが近道です。

「外資系志望者が日系で併願する企業」を考えてみた時に思い浮かぶのは、コンサル系であれば野村総研などのシンクタンク、投資銀行であれば野村證券・大和証券・メガバンクなどの金融系企業ですが、そんな中でもコンサル・投資銀行志望者双方に根強い人気を誇るのが「商社業界」です。
海外で活躍したい・大規模な事業を動かしたいと強く思う方には、商社もひとつの選択肢となりえるのではないでしょうか。

しかし、そもそも商社がどのような事業展開をし、収益を上げているのかということはあまり知られていないようです。
今回は、商社について詳しく知っていただくためのイントロダクションとして、「総合商社とは?何をしているのか?」というテーマでお話していきたいと思います。

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総合商社の沿革

商社とは、字面通り「商いを行う会社」の事を指します。
特に総合商社は、「ラーメンから航空機まで」といった言葉で表わされるように、幅広い商品の輸出入を担当する広義の卸売会社として、大きく発展を遂げてきました。

特に高度経済成長期には、各種資源を日本に調達し、それらを加工した工業製品を世界各国へ販売して外貨を稼ぐという国益上非常に重要な役割を担い、対外的な折衝役という立ち位置でもあったことから、「海外に行くなら商社に就職するべし」と言われていました。
しかしその後、各メーカーが独自の海外販路を築くことで商社に取られるマージンを削減する動きが広まっていき、「商社冬の時代」と言われる時代に突入します。

この「冬の時代」を生き残っていくために試行錯誤した結果、サプライチェーンマネジメントと呼ばれる流通網整備の効率化や、蓄積された海外ネットワークを生かした国内外企業への事業投資といった様々な形で利益を上げる事に成功。今日まで存続しているわけです。

しかし、だからといって貿易・販売ビジネスが消滅したわけでもなく、これらも変わらず商社の主要ビジネスとして存在しています。つまり、ただでさえ幅広い商品を扱っていたのに、そこから収益を上げる仕組みがさらに多様化してしまったわけです。こういった経緯により、現場の社員ですら全容を掴みきれないほどに複雑化したことが、「商社は何をやっているのかよくわからない」と言われる原因となっているように考えられます。

では、以下で商社の手掛ける事業を大まかにまとめてみましょう。

2つの車輪:トレード&事業投資

商社の説明会で商社の事業体系について説明する際によく使われるのが、「トレードと事業投資という2つの車輪」というフレーズです。
まずはこれについて、ざっくりと解説していきましょう。

トレードとは、旧来的な物を右から左に流す仕事です。例えば新日鉄が鉄板を作って中国の企業に売りたいとします。その時に鉄鉱石を鉄鋼メジャーから買い付け、八幡製鉄所まで搬入される手続きを整える仕事を担当するのが三菱商事、つまりは総合商社のトレードビジネス担当部門になります。

一方で事業投資とは、商社が国内外の企業に対して出資を行って人を送り込み、それまでのトレードビジネスで培ったノウハウを生かして経営に関与、企業の成長に伴う企業価値の増大や配当金などから収益を上げるというものです。

先ほどの例で言いますと、鉄板を中国各地の工場へとより効率的に納入する物流網を整備したい(それに必要なノウハウがある)と考えて現地の物流関連会社へ出資を行い、派遣されてきた社員主導のもとで経営関与を行っていく…といった内容です。

事業投資:実例

「事業投資」とひとことで言っても、各社さまざまな企業に投資をしています。これらを少しでも実感として理解してもらうため、代表的な事業投資の案件をいくつか紹介していきたいと思います。

・サハリンプロジェクト(三菱商事・三井物産)
ロシア政府主導の下、サハリンで行われている油田・天然ガス田の開発プロジェクト。
特にサハリンⅡと呼ばれるプロジェクトの推進母体であるサハリン・エナジー社には、三菱商事が10%、三井物産が12.5%を出資しています。

日本という国の特性上、各種資源をいかに調達するかは、国家存続のうえでも重要な問題です。このサハリンプロジェクトは、地理的にも日本の原油やLNG調達先として非常に適しており、日本のエネルギー戦略において主要な地位を占めています。

サハリンプロジェクト(稚内市)

・ジュピターテレコム(通称J:COM 住友商事)
日本最大のケーブルテレビプロバイダーとして、高速インターネット接続や多チャンネルテレビなどのサービスを提供しているジュピターテレコムは、住友商事が株式の40%超を保有するグループ会社です。どこかで一度は耳にした事がある会社ではないでしょうか。

住友商事は商社の中では珍しく国内事業に強く、特にJ:COMやユナイテッドシネマ(シネコン。都内では豊洲が有名)、アスミックエース・エンタテインメント(映画製作会社)などを有するメディア事業には定評があります。こういった消費者に近いビジネスにも、商社は手を伸ばしています。
ジュピターテレコム(住友商事)

・デサント(伊藤忠商事)
昔から繊維が強いと言われていた伊藤忠は、特に他社と比べてもアパレル事業が強いと言われていますが、そのわかりやすい例がこのデサントです。
国内スポーツウェア大手としてUMBRO(アンブロ)やle coq sportif、また社名にもなっているDESCENTEなど各種スポーツブランド衣料の製造・販売を行っているこの会社は、現在は伊藤忠が一部出資する関連会社となっています。
デサント(公式ウェブサイト)

・水事業(丸紅)
昨今の商社ビジネスの流れとして、長期的に安定した収益が見込めるインフラビジネスへの注目が挙げられます。特に日本の高い技術力を生かした水ビジネスの成長が期待されていますが、商社の中でも水ビジネスに最も力を入れているのが、丸紅です。

丸紅は2009年末に中国・安徽省の下水処理大手に出資を行い、中国での下水処理事業に乗り出しました。これは日本企業では初の取り組みであり、今後のアジアにおける水ビジネスの行方を占うものとなるでしょう。
丸紅(公式ウェブサイト)水ビジネス

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